monge

　海老名市。神奈川県のほぼ中央、相模川の東に位置するこの市は東京や横浜へのアクセスも良く、自然も近くに感じられる場所である。計画地は分譲地であるが、近くに田園風景が広がるゆったりした感じを抱かせる敷地である。家族が増え、より快適な住空間を求めていたクライアントは当事務所の実例をしっかり見て設計を依頼してくれた。

　住まい手の立場になって考えていると感じる事、機能的で美しい空間を目指して設計している事など、クライアントに言われるとちょっと恥ずかしさはあるが、事実、いつも私が考えている事である。その様な期待を受け止め設計が始まった。 分譲地なので設計中は周りの家も更地で、どのような街並みになるのか不明であったが、周りは建設会社主導の建設であった為、きっとサイディングで仕上られた家々になるのだろうと予想していた。予想通りの隣家が出来上がった街並みに、セメントの白華も良しとする自然な風合いを持ったSOLIDOの外壁が少し狂暴な印象を与えるが、コーナーまで鎧貼にしているディテールを採用して、家らしさを醸し出す事に成功した。

また内装の壁、天井のほとんどは調湿、消臭効果の高いMOISS（モイス）を採用した。MOISSの納まりではミニマルなディテールを追及して施工会社を困らせたが狙い通りに住空間の光の柔らかさを獲得する事が出来ている。

　文珠（モンジュ・monge）の知恵。三人寄ればと言われる慣用句であるが、文珠の知恵単体では、素晴らしい考えと言う意味である。クライアントと打ち合わせを重ね、いくつもの素晴らしい考え（アイデア）により出来上がっている。設計者からは文珠知恵の家と名を贈りたい。

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