Nouveau

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Nouveau

専用住宅

RC造/W造・F3/B1

延床:358.69㎡

東京都渋谷区

 Nouveau(ヌーボー)フランス語で「新しい」を意味する言葉である。渋谷区西原で設計したこの住宅はクラシカルな様式美と近代的なモダンを共存させる新しい空間を試みた。
 武蔵野台地の東端のひとつで渋谷区内の高台に位置する計画地は南東側約6.6mの前面道路に接している。優れた立地であるが都心の住宅街であるので外部からのプライバシーを確保しながら内部からは開放的に感じる空間が良いと思いプランニングを進めている。
 家族4人の部屋にゲストルーム、カラオケルーム、サンルームに屋上テラスなど。希望された所要室とエレベーターの設置から家の中心となるLDKは3階が最善な配置になり、既に数件、建物を所有しているクライアントは目が肥えている事もあり、この初回プランを直ぐに気に入ってもらえた。
 2台分のビルトインガレージ、ソファーが置けるほどの広い玄関、シューズインクローク、玄関ストレージ、ランドリールーム、ゆったりパウダールーム、サウナにバスコートなど、クライアントと打ち合わせを重ね、心地良い広さとゾーニングがされている。

そして、クライアントが初めから希望されたLDKと一体に使えるサンルームは、あえて屋外的には感じさせないようにしてトップライトからの自然光を沢山蓄えられるような位置付けとし、日中はサンルームが一番明るい空間で求心力を持ち、夜間は高天井のリビングやダイニングの方を照明で明るくさせ、空間にメリハリが生じるデザインをしている。また、自然の草花、樹木をモチーフにデザインしたアールヌーボーを連想させるロートアイアンをアクセントにして、自然光がトラバーチン内壁に写り込むロートアイアンの影を美しく見せる事を意識して設計した。
 光や影を設計するのは設計者のエゴかもしれない。しかし、美しい空間は間取りやマテリアルだけでなく、光や影も一体となり構成されているのである。撮影時、一日中LDK空間を体感すると時間や天候により明るい場所、暗い場所が変化し、空間の感じ方(イメージ)が変わるように出来た事は大成功であった。
 当初から考えていた光と影を操作し、クラシカルな様式美と近代的なモダンを共存させた新しい空間が創出できたと自負している。

architect:Takeshi Kobayashi

photographer:Shigeyanagi

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