RISE

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RISE

専用住宅

W造・F3

延床:102.93㎡

東京都港区

 港区白金台。東京の都心は大通り沿いに狂暴とも思えるビルが立ち並び、そのビル群に囲まれるように住宅地が形成されている。そして、武蔵野台地の東縁になるこの地域は坂が多く起伏のある地形であり、高級住宅街として知られる場所であるが、道路形状も複雑で雑多なイメージを見るものに与える。

 計画地は大通りの喧噪からビルで遮断され離れた静かな場所に位置しており、北側前面道路で敷地の南側がマウンド状に高くなっており、北下がりの地形である。シンプルに考えれば北側道路側に窓を大きく配置して北下がりの地形に素直に向き合う事が良いと思えるが、道路対面の隣家群は南方向になる計画地に向けて大きな窓を並べている。ヒッチコック映画の裏窓が北側窓だったかどうかは知らないが、プライバシーの確保には問題である。

 そこで私は縦方向の吹き抜けが有効ではないかと考えた。前面道路以外は隣家に囲まれているが、高さ制限による南隣家の上部から空を捕まえたいと考えたのである。3階リビングとして天空をより感じる空間も魅力的であるが、日々の動線と家族が一番集まるリビングを考えると2階にLDKを配置するのがベストであった為、リビング南側に出来るだけの吹き抜けを設け、隣家屋根越しの開放された空を2階リビングで感じる様にした。

 南向きの吹き抜けは、良好な採光をもたらし、ゆったりと明るく、心静かに楽しく過ごせる場として機能し、プライバシーも確保しやすいゾーニングにも寄与している。私は、この空間が立ち上がった吹き抜けを勝手にRISE(上昇)と命名している。

 外観デザインは土地のポテンシャルを最大限生かせるように四角い箱。住まい手のプログラムを矩形にまとめるのも設計者のテクニックなのである。 

 個人的な話だが計画地がある港区白金台は私が独立前に勤めていた会社があった思い出深い地域である。まだ東京もよく知らない20代で若かった私は我武者羅に建築設計に明け暮れていた。その様な思い出深い地域に素敵な御夫婦家族の家を設計する事が出来て、私の気分も上がったのである。

architect:Takeshi Kobayashi

photographer:Shigeyanagi・etc

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