CALMARE
専用住宅
W造/RC造・F2/B1
延床:160.66㎡
東京都大田区
大田区田園調布。渋沢栄一らによって開発された有名な高級住宅街である。計画地は西側前面道路に面しており、道路から約1.4m地盤が上がった敷地である。その様な場所に多忙な日々を送っているクライアントの為にCALMARE(イタリア語で落ち着く)する事が出来る家を考えた。
まずクライアントと家のイメージ共有の為に、好きな家のイメージ写真を戴く事から設計は始まった。戴いた写真の多くは屋内外が繋がりのある空間写真が多く、シンプルであるが品のあるモダンなデザインを求めている事が見受けられた。ファーストプランでは庭が建物に中庭状として食い込む事により内外の繋がりを強くする事を考えたが、打ち合わせを進めるにつれ、屋内空間がなるべく幅広く庭に接する方が良いと感じられ、最終プランに行きついている。幅広く庭に屋内空間が接する事により玄関を入った正面にも屋外空間が広がり、ダイニングキッチンは畳数以上の広さが体感出来るようになった。また、よりアクティブに庭を使ってもらえる配置にもなっている。
最終プランをお見せした時のクライアントの目が輝いているのは嬉しい事であった。住宅設計はクライアントが抱いている潜在的な想いに耳を傾け考える続ける事なのである。そして、ダイニングキッチンと3段ほどのスキップユロアにした吹き抜けリビングからもシーケンシャルに庭が感じられ、楽しい抜け感が得られる様に考えた。吹き抜けリビングに配した階段は動線の中心的な存在としてリビング空間に人が集まりやすくする役割も与え建築的には大胆なゾーニングを行っている。クライアントが日々の生活で心地良さや使いやすい動線を感じ、何十年経ってもいい家だな、と思ってもらえる空間になったと自負している。
写真は隣家が工事中だったため仮囲いのシート色の影響が出てしまっているが、数年後、庭の植栽が育ち、緑に囲まれた落ち着いた家になった時が完成である。
architect:Takeshi Kobayashi
photographer:Shigeyanagi